支払わなければいけないの?賃貸住宅退去時のトラブル

今年度もあと3カ月となり、春からの新生活に向け、賃貸アパートやマンションの契約をしたり、退去したりする機会が増える季節を迎えます。

借り主が賃貸住宅を退去する際に、「原状回復費用」にまつわるトラブルに頭を悩ませることがあります。トラブルを防ぐには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

最近の事例(国民生活センターHPより引用)

  • 管理会社の了解を得て賃貸マンションの光回線工事をしたが、退去時に、工事は許可していないと言われ、原状回復費用を請求された。

  • 賃貸マンションを退去したところ、高額なハウスクリーニング代を請求された。納得できない。

  • 4年前に契約した賃貸マンションを退去したが、契約当時に提出した現状確認書を管理会社が紛失し、入居時についていた傷まで含めた修復費用を請求された。

  • 亡くなった母が住んでいた賃貸住宅を引き払ったが、原状回復費用としてふすまの張替費用などを請求されている。支払う必要があるのか。

  • 5年入居していた賃貸アパートを退去したところ、壁紙の修理をするため敷金は返金できないと連絡があった。納得できない。

※「最近の事例」は、相談者の申し出内容をもとにまとめたものです。

こうした退去時の原状回復をめぐるトラブルの未然防止のため、原状回復の費用負担のあり方について、妥当と考えられる一般的な基準を「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」として国土交通省がまとめています。このガイドラインを参考に、賃貸借契約を締結するようにするとよいでしょう。

「原状回復」とは ~「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」による~

原状回復とは、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではありません。

しかし、あきらかに通常の使用等によって発生したものではないものや、手入れ等管理が悪く、損耗等が発生または拡大したものについては、賃借人に原状回復義務があります。

いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれますので、賃借人が修繕費用のすべてを負担することはありません。

また、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど賃借人の費用負担は減少します。

原状回復などの契約条件に納得した上で契約を

原状回復の問題は、退去時の問題ではなく、入居時の問題です。契約の前に、物件の状態をよく見て、傷んでいる箇所があった場合は写真を撮っておいたり、家主と一緒に確認をしたりするようにしましょう。原状回復などの契約条件を双方がよく確認し、納得した上で契約を締結しましょう